当院において腰の不調を訴える方の中でも多いのがこの「ぎっくり腰」
「ぎっくり腰」にも実は何種類かあったりしますので、その辺りも含めて「ぎっくり腰」に関してじっくり解説していきます。
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ぎっくり腰とは何なのか?
そもそも、ぎっくり腰とは何なのか?ということについて解説します。
ぎっくり腰とは・・・
身体の警告信号!!
何だそりゃ?と思う方もいるかもしれませんが、身体に何らかの危険が迫っているよという事と理解していたければ良いと思います。
細かく言えば、筋肉がどうとか、関節がどうとか、そのほかにも色々と思いつくことはあるでしょうけど、ぎっくり腰に限らず強い痛みというのは身体に危険が迫っていますよという警告であるということは覚えておいてほしいことです。
警告信号とは何なのか?
ぎっくり腰に限ったことではありませんが、強い痛みは特に身体の異常を感知する感覚です。
これは単なる痛みということではなく「なんかヤバい!」というようなある種の危機感や不快感を伴うことで、心理的にも身体的にも警告を発信しているという重要な役割を果たしているということです。
一例として強烈な痛みを伴うものをいくつか挙げてみましょう。
例えば脳梗塞や硬膜下血腫など。これらは「頭をハンマーでカチ割られたような強烈な頭痛を伴う」と言われています。また、心筋梗塞や腹部大動脈乖離などでは強烈な胸部痛・心窩部痛・背部痛などが起こると言います。
これらの痛みに共通するのは「命の危険」があるという事。ある意味、今まで感じたことのないような強烈な痛みに関しては、命が危険に晒されているということを認識するためということが言えると思います。
ぎっくり腰に関しては、命に関わるという確率は低いと思われますが身体にとっては何かしらいけないことが起こっていると思っていただいて間違いはないでしょう。
ぎっくり腰の原因
ぎっくり腰の原因も人によって様々です。
私の経験上の印象ですが、これだ!という明確な原因が一つだけということはなく、様々なことが積み重なって一気に強い痛みとなり吹き出してきたというパターンが一番多いような気がしています。原因は一つだけではないです。
その中でも、ぎっくり腰に強く影響を与えると思われる要因について列挙しておきます。
- 肉体的な疲労の蓄積
- 内蔵の疲労
- 心理的ストレス
この3つは、ぎっくり腰には多く関わっているように感じます。それぞれに関して説明していきます。
肉体的な疲労の蓄積
ぎっくり腰の原因としてこれが一番多いと思われている方が多いと思います。
実際、ぎっくり腰で来院される方にお話を聞くと忙しくしばらくお休みを取られていない方や、十分な休養・睡眠が取れていない方、オーバートレーニングなどなど、疲労の蓄積が原因と思われる方は大勢いらっしゃいます。
身体は、こういった肉体的疲労の蓄積が顕著な場合にも警告信号として強い痛みを出すことがあります。
身体から「そろそろゆっくり休んでください」という無言のメッセージだと思ってください。
内蔵の疲労
内蔵も働かせすぎると疲労を起こします。これは筋肉と一緒です。
一例ですが、ぎっくり腰は年末・年始や、お盆、3〜4月、9〜10月に多いなぁという印象が私個人にはあります。これは現場にいて感じることです。
この時期には、何が多いかというと「お酒を飲む機会」です。加えて世間一般的にお仕事が忙しくなる時期でもあります。
なぜ、お酒を飲む時期にぎっくり腰は増えるのか?
それは「肝臓・腎臓の働きすぎ」にあります。内蔵(特に肝臓と腎臓)は働きすぎたり、疲れたりすると腫れると言われています。そういった内蔵に対する反射(反応)が筋肉に出てしまうということもあります。これは内蔵ー体壁反射と呼ばれるものです。
東洋医学的に腎臓は寒さや冷えに弱いとされています。腎臓と関連があると言われるのは立位や歩行時に身体の支えとなる重要な筋肉「腸腰筋」です。年末年始など、寒い時期にお仕事も忙しく連日の残業だったり、忘年会や新年会と暴飲暴食の機会が多くなってしまうと・・・。肉体的要因にも加えて、内蔵の疲れも加わり、身体的にはそろそろ休んでくれと「腸腰筋」に強烈な筋の緊張と、強い痛みを出して警告を出すのです。
「腸腰筋」は先ほども書いたように体を支えている筋肉ですから、それが働けない状況になると痛みで立てなくなるというような症状になるのです。
心理的ストレス
ぎっくり腰や寝違えのような強い痛みは、症状の出やすい時間帯などがあったりします。
1日の中では「朝」が圧倒的に多く、当院へぎっくり腰治療でお見えになる方も
- 「朝から立てなくなった」
- 「顔を洗おうとして前屈みになった瞬間にピリッときた」
- 「出かけようとして、靴下を履こうとして足を上げた瞬間にギクッとなった」
ということはよく聞くお話かと思います。当院でもそのような方は非常に多いです。そして、そのほとんどが朝に強烈な痛みを感じ「せんせぇ〜、動けんごとなった・・・」とお電話をいただきます。
もともとこのような方達には、すでに書いたような肉体的・内蔵的な疲労が蓄積されていたということもあるでしょう。さらに、朝というのは就寝中に血行が悪くなっているので(自律神経による調節や、寝ている時は動かないため)筋肉は凝り固まってしまうことが多いのです。
加えて、職場や学校などでストレスを抱えていたりすると「何だか行きたくないなぁ〜」という心理と共に、身体に過剰な拒否反応として強烈な痛みを出すこともあるようです。
心理的ストレスでぎっくり腰になる?と疑問に思う方もいるでしょう。
こんなケースもあります。
部活動をしている高校生が、大事な試合を数日後に控えていて急なぎっくり腰や寝違えになるというケースは、私の20年にわたる臨床経験の中でも「何度」もあります。心理的プレッシャーから強い痛みを出すということは、あながち嘘ではないだろうなというのが私の印象です。
原因は一つではない
ぎっくり腰の原因として、これまで大まかに3つの要因を挙げてきました。
これらの要因の一つが原因というわけではなく、それぞれが絡み合って同時多発的に増幅され、身体的限界に達した時に、強い痛みを出す。
というのが個人の見解です。
ぎっくり腰とは違う危険な痛み
ぎっくり腰のような強い痛みは、身体が発する警告信号であるということは書いてきました。
しかし、それとは別にとてもとても危険で命に関わるような強い痛みというものも存在します。
もし、そのようなケースが疑われる場合は当院では早急に専門医へのご紹介、並びに受診をしていただくようにお願いしています。命に関わるようなケースでは整体・整骨院がお力になれることはありません。
このような危険な痛みについては、別のコラムで書きていきたいと思います。
ぎっくり腰と整体
当院でのぎっくり腰における施術についてご説明しておきます。
ぎっくり腰については保険適応(柔道整復術)となるケースもあります。
はっきりとした原因があり、発症日時と場所が明確で急性症状である場合、かつ関節や筋肉・靭帯などの炎症反応や機能障害が認められるケースでは健康保険が適応される場合があります。問診や、その他の検査においてそのような判断がなされた場合には、柔道整復術においての施術をおこなっていきます。
その場合には超音波治療機器における関節軟部組織へのアプローチや手技療法、筋肉を動かしやすくするための運動などで、強い痛みの軽減と、自然治癒力の促進をおこなっていきます。
それとは別で、原因が思い当たらない場合や、強い痛みが出てから数日が経過しているもの、痛みはあるが比較的軽傷で普通に歩けるような状態などでは、炎症なども起きてはいない場合もありますので、問診・検査によりそのような判断がなされた場合には、骨格の調整による整体術で症状の改善を図ります。
ぎっくり腰になった時のアドバイス
本音では、一刻も早く私たちのようなぎっくり腰治療のプロへお任せいただくのが、一番早い方法であることは間違い無いです。
ただ本当に動けない場合や、時間などの都合でそのような場所へ行きことができない場合もあると思います。
その場合には、以下の点を気をつけて行動してみてください。
- 動ける範囲の日常生活は送るようにすること
- 患部は冷やさずに温めること
- そして寝れるだけ寝る
この3点は意識してみてください。
以前は、ぎっくり腰のような強い痛みのときは患部を冷やすということが推奨されていましたが、現在では炎症が起きていても温めた方が治癒スピードは早くなるというデータもあります。現場で感じるのは、確かに温めた方が回復は早いというのが実感です。
そして、ぎっくり腰は身体からの警告信号だとお伝えしているように、体力が低下している時、精神的に参っているときなどによくおきますから、睡眠を十分にとり疲労の回復、体力の回復に努めてください。
風邪をひいた時には、どれだけでも寝ることができませんか?個人的に思うのは、ある意味風邪を引くのもぎっくり腰になるのも同義語のような気がしていてます。どちらも、体力的・心理的に弱っている時ほどは称しやすいものだと思うからです。
それと同じように、体力を回復させ自然治癒能力が遺憾なく発揮される状態になり、身体のプロに施術を施してもらえば、比較的早い症状の回復が見込めると個人的には信じています。
まずは内蔵の冷えを予防しましょう。