いんちょーです。
前回の投稿で、骨盤にはたくさんの靭帯が張り巡らされていて、かなり頑丈に補強されていることを書きました。そして、そのおかげで骨盤はズレたり歪んだりする事はないと書きました。
今回の記事では、「でもなぜ骨盤はズレたり歪んだりすると言われるのか?」ということについて触れていきたいと思います。
再び、前回も載せた骨盤のイラストです。既述の通り、骨盤を構成する仙骨と寛骨は仙腸関節を介して連結し、その連結部分はかなり強力な靭帯で補強されています。ですので、まずこの部分がズレたりするという事は考え難いのです。
そもそも、これだけ頑丈に補強されているのだから仙腸関節自体も動く事はないという意見もあります。しかし、これに関しては個人的に(?)と思いながら臨床の中で接しています。事実、仙腸関節に手を当てて圧を加えていくと動きを感じ取る事ができるからです。これはおそらく数ミリ単位の極々わずかな動きだと思いますが、動きはあると考えています。
しかし、だからと言って明らかにズレたり・歪んだりするという事は考えられません。そもそも仙腸関節がズレたり歪んでしまったら、それは関節の位置関係が崩れてしまっているという事ですから「脱臼」と表現されるべき事だと思っています。「脱臼」ともなれば大ごとですよ(苦笑)
それを簡単に「あぁ、これは骨盤がズレてますね」「骨盤が歪んでますから、このまま放っておけば〇〇さんは歩けなくなるよ!」なんてことを言って脅しをかける施術者もいるというのですから…。(実話です)
では、なぜ骨盤はズレる・歪むという表現になってしまったのか?
上にも書いたように、骨盤(寛骨と仙骨)のそれぞれの骨の位置関係が変わる事はほぼほぼないと思います。もしそれをズレる・歪むという表現で表しているとしたら、「骨盤が歪む・ズレる」というのも骨盤自体が歪む・ズレるのではなく、正確に言うと「骨盤の位置や角度が正しい状態からずれている。」という意味になります。ん?難しいですか?
ではこちらの画像をご覧ください。
この状態で他の治療院で「骨盤がズレていますね」と言われ、当院に来られた方の骨盤の様子です。この方は、自分の骨盤は歪んでいるんだと信じきっていました。でも、よく見てください。骨盤自体の形が変わっているわけではなくて、向きが変わっているだけなのです。
この方の場合は、骨盤に左側が引き上げられ傾き、さらに右の方へ若干ねじれているように見えます。これをズレ・歪みだと表現してしまっているのです。
じゃあ、なぜ骨盤はこのような変化を起こしてしまうのか。。。
そこはまた次回。
<つづく>
今回の参考文献です。同業の先生方、今国家試験に備え勉強中という学生さん。少なくともプロメテウスくらいは全巻揃えておきましょうね。